日本と僕の繋がり

僕の本「デル ピエロ 真のサッカー選手になるための10の心得」(原題 Giochiamo Ancora)の日本版用に特別に用意した前書きより一部抜粋。

『最初の繋がりは1996年のことだ。これまでに手にしてきたタイトルの中で最も、自分の力で獲得したという手応えを感じているのは、1996年11月26日、国立競技場でリーベルを破って優勝したトヨタカップだ。試合において、選手というものは相手だけではなく自分自身とも戦わなければならない。

それは自分の限界との戦いでもあるわけだが、あの試合で僕は不思議と、どんな相手にも勝てるんだという感覚に包まれていた。
試合終了間際に気忌めた僕の決勝ゴールは、ユベントスにクラブ世界一の座をもたらす事になった。
日本という国、そして日本の人々との絆はこうして生まれたわけだ。
それからというもの、僕は遠く離れてはいたけれど、一度だってその繋がりを失う事はなかった。
あの決勝ゴールを決めた後のスタジアムの大歓声と、その中で感じていた喜びをいまもはっきりと覚えている。
スタンドにはユベントスファンがたくさんいて、まるで自分たちのホームでプレーしているかのようだった。
きらびやかな表彰式と、空高く掲げた優勝カップ。あの夜の僕は大きな喜びに包まれていて、これ以上の幸せなんかないんじゃないかと思ったくらいだ。
僕は22歳になったばかりだった。腕の中にはクラブ世界一の優勝カップがある。僕のゴールで優勝は決まり、マン•オブ•ザ•マッチにも選ばれた。
セリエA、コッパ•イタリア、チャンピオンズリーグ、そしてトヨタカップ。ユベントスとともにすべてを勝ちとることができた2年間だった。…』

 

アレッサンドロ

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